【多神教】ヒンドゥー教の神5体の役割を解説【古代インド】

皆さんは神様はいると思いますか?

無宗教な日本にはあまり馴染みのない存在かもしれません。

最近ではゲームやアニメに採用され、名前くらいは知っているという神もいるかと思います。

その中で今回はヒンドゥー教の神を紹介します!

ヒンドゥー教は多神教のため様々な神が存在しますが、その神たちの神話まで知っているという人は少ないのではないでしょうか。

今回はヒンドゥー教の神を5体紹介します!

また、ヒンドゥー教について知りたい方は【神々への賛歌】ヒンドゥー教の成り立ちとは 【古代インド】をぜひ読んでみてください!

三神一体

古代インドの神話では暗闇を破り世界を創造し神がブラフマー、世界繁栄維持がヴィシュヌ、それらを破壊するシヴァがいて、宇宙は創造・維持・破壊の3つで成り立っているという考えがあります。

これが三神一体トリムルティです。

これら3体はヒンドゥー教において重要な神であり、神々の中でも非常に大きい力を持っています。

それではヒンドゥー教を代表する3神を紹介します!

ブラフマー

ブラフマーは先ほども述べた通り世界を創造したと言われる創造神です。

4つの顔を持ち、それぞれ4つのヴェーダを表しています。

また、腕も4本あり、数珠、ヴェーダ、壺、しゃくを持っています。

ブラフマーの1日は人間の時間でいうと86億4千万年だそうで、カルパと呼ばれています。

この周期で宇宙が誕生し消滅していると言われています。

ブラフマーは創造神ということから神々の父と呼ばれているにもかかわらず、ブラフマー主体の神話体系が存在していないこともあり、ヒンドゥー教の中ではそれほど大きな力を持っている神ではありません。

ヴィシュヌ信仰やシヴァ信仰が大きい勢力を持ったこともあり、現在はブラフマー信仰の勢力はなく、ブラフマーを祀った寺院もほとんどないようです。

ヴィシュヌ

ヴィシュヌはヒンドゥー教の中でもかなり大きな力を持つ神であり、世界の繁栄・維持を司っています。

ヴィシュヌも4本腕を持っています。

インドの神は4本腕を持つ神が非常に多いです。

ヴィシュヌの武器はチャクラ(円盤)です。

投げればどこまでも飛んでいきます。

また、法螺貝ほらがいを持ち、一吹で神に勇気を与え、悪魔を震え上がらせると言われています。

そしてヴィシュヌの絵画でははすの花を持った姿がよく描かれています。

蓮の花はインド神話で非常に重要な意味を持ちます。

蓮は水・大地・生命を指し、朝に開き夜に閉じることから太陽が昇り日が暮れる様子を表しています。

更には蓮の花は世界そのものとまで言われるようになりました。

ヴィシュヌ教の世界創造エピソードにはこのような話があります。

遥か昔、世界は混沌の海に覆われていました。

そこにはヴィシュヌとアナンタ竜王(絵画でよくヴィシュヌと共に描かれている蛇)しかいませんでした。

永遠とも思える時間が流れ、ヴィシュヌのへそから蓮の花が生えてきました。

その蓮の花が花開いた時、そこにはブラフマーが座っていて、世界を創造しました。

ヴィシュヌ教では世界を創造したブラフマーを生んだヴィシュヌが真の創造神だとされています。

このようにヴィシュヌ教では他の神々の神話はヴィシュヌが姿を変えて行ったことだとされ、あらゆる神がヴィシュヌと同一視されています。

これにより、ヴィシュヌはヒンドュー教において非常に強い力を持っているのです。

シヴァ

シヴァはヒンドゥー教においてヴィシュヌと同等の力を持っており、全てを破壊する神と言われています。

シヴァは腰には虎の皮を巻き、首には数珠と蛇を巻いている姿が描かれています。

シヴァの武器は三叉檄です。

インダス文明のモヘンジョ=ダロからはシヴァと思われる神像が見つかりました。

その神像にも三叉檄のようなものが描かれていたそうです。

また、シヴァの最大の特徴は第3の目が覚醒していることです。

この第3の目にはこのような神話があります。

シヴァは普段瞑想ばかりしていたそうです。

そこに女神の妻であるパールヴァティがいたずらでシヴァの目を後ろから覆いました。

すると世界は暗闇に包まれました。

その暗闇に生物は恐怖を感じていたところ、シヴァの額から第3の目が現れてヒマーラヤを焼きつくすほどの光を放ったとされています。

神の化身

クリシュナ

クリシュナはインドで最も広く知られおり、また親しまれている神です。

クリシュナは黒という意味があり、誕生した時には黒かったと言われています。

そのため、宗教画でも青黒く描かれることが多いようです。

また、クリシュナは笛の達人とも言われており、人間はもちろんさまざまな生物が聴き惚れる音色を奏でていたと言われています。

クリシュナの有名な神話としてカーリア竜王退治という話があります。

ヤムナー川に100の頭を持つカーリアという毒蛇がいました。

カーリアの毒のせいでその川の水は熱くなり、川の水を飲んだ生物は死んでしまいました。

それを聞いたクリシュナは仲間の牛飼いとヤムナー川へむかいました。

到着するとクリシュナは川へ飛び込み、それを知ったカーリアは怒ってクリシュナに襲いかかり巻きつきました。

しかし、クリシュナはそれをものともせず、次第にクリシュナの体は大きくなりました。

胴がちぎれそうになったカーリアは巻き付くのをやめ、クリシュナに毒を吹きかけました。

クリシュナは毒を避け、カーリアの頭の上で踊りました。

クリシュナの重さに耐えれず、死にそうになったカーリアでしたが、そこにカーリアの妻が来てクリシュナに許しを乞いました。

クリシュナは命を助ける代わりにこのヤムナー川から出ていくことを約束し、ヤムナー川はまた前のような清流に戻ったのでした。

クリシュナにはまだまだ多くの神話が存在します。

それほどまでにクリシュナ信仰がインドには広く浸透しているのです。

大衆神

ガネーシャ

ガネーシャもインドで広く親しまれ人気がある神です。

ガネーシャはシヴァの家族で腕は4本あり、像の頭が特徴的で右の牙が折れています。

富や成功を司る神と言われていることから商業関係の人々に崇拝されており、店の入り口にガネーシャを置いているという店も多いようです。

ガネーシャが象頭になったエピソードとして次のような話があります。

シヴァには従者が大勢いましたが、妻のパールヴァディのいうことは聞こうとしませんでした。

そのため、パールヴァティは召使を創ろうと思い、自分の垢で人形を作り命を吹き込みました。

パールヴァティは創った召使を息子とし、門番をするよう命じました。

そこにシヴァが帰って来ましたが、召使に拒まれてしまったため、シヴァは激怒しその召使の首を切り落としてしまったのです。

それを知ったパールヴァティは激昂し、息子を必ず生き返らせるよう言いました。

シヴァは部下に最初に出会った動物の首を持ってくるように命じ、そこで最初に見つけてきたのが右の牙が折れた像の首だったのです。

象頭神として生き返ったパールヴァティの息子はガネーシャとしてシヴァ家族の長男となりました。

最後に

いかがだったでしょうか。

今回はヒンドゥー教の有名な神を5体紹介しました!

神話はどれもこれもスケールが大きくて古代の人々の想像力の凄さを感じますね!

もしくは、これらの話が全て本当とまではいかなくても、実際に特殊な能力を持った何者かが実在していたという考えも面白いですよね!

インドにはまだまだ有名な神がいるのでまた今後も紹介していきたいと思います。